【学び】成功者の共通項!「GRIT やり抜く力」を読んだ感想
今回読んだ本はやり抜く力 GRIT(グリット)―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につけるという本。著者はアンジェラ・ダックワースさんという心理学者の方です。日本語版は 2016 年に発売されました。
まず、簡単に読んだ感想を述べると、久々に何度も読み返したい本に出会ったという感じです。
この本は人生において大切なことがたくさん書いてあります。日本語訳された「やり抜く力」という言葉が本当にしっくりくる内容でした。
また、この本のいいところは「GRIT(やり抜く力)」に関して、研究者らしく様々な調査を行い、エビデンスに基づいた論理が展開されており、非常に説得力があることです。
著者の方は TED トークでも発表しているのでぜひ見てみてください。
それでは、以降は私なりにまとめた内容を紹介します。
概要
「成功者の共通項はなにか?」
この問いの答えが「GRIT(やり抜く力)」であるということが著者の主張です。生まれ持った才能ではありません。
この結果は成功者の偉業や大学を卒業できるかが、もともとの個人の能力ではないという研究結果から明らかになりました。彼らの共通項は目標に向かって努力を続ける「やり抜く力」でした。
では、「やり抜く力」とはなんなのか、なぜ重要なのか、そしてどうやったら「やり抜く力」が伸ばせるのかが述べられています。
書籍内ではそれぞれの主張が様々な研究結果や、実際に成功をおさめた人へのインタビュー内容に基づいて「やり抜く力」を明らかにしていきます。
GRIT のおすすめ理由3選
GRIT がおすすめできる理由を3つ選びました。
- "やり抜くことの希望が見える"
- "行動の指針になる"
- "研究結果とインタビュー内容が面白い"
それぞれおすすめ理由を紹介していきます。
やり抜くことの希望がみえる
本で述べられているように、成功者は生まれ持った才能ではなく、膨大な時間の継続的な努力によって成功したのだというのはシンプルに励みになります。
これは、米国陸軍士官学校の「ビースト」という過酷な訓練を乗り越えるのがどんな人かや、有名なスポーツ選手がどのような練習で実力を身につけたかの調査から明らかになりました。
1つ目の「ビースト」の調査は入学時の成績と訓練を耐え抜く人との相関をみるものです。調査の結果、入学時の成績とは相関がなかった。ではなにが違いになるかというと、課せられた訓練を乗り越える能力ではなく、絶対に諦めないという態度です。
2つ目は競泳選手の話で、彼は毎朝4時に起きて練習に行き、49 秒のレースのために地球1周分は泳いだと答えています。しかも、ただ距離を稼いだわけではなく常に自分の能力を上回る目標を設定し、心底ツライと感じる練習を行ってきたといいます。
この競泳選手のインタビュー内容はグッとくるものがありました。インタビューの中で彼は「練習に行くのを楽しいと思ったことは一度もないし、練習中はもちろん楽しくなかった」と述べています。それでもなぜやめなかったのか、理由は「水泳が大好きだったから」(P188〜189 あたり)です。
これらの例からわかるように、目標を達成するのに必要なのは才能ではなくまさに「やり抜く力」なのです。
行動の指針になる
「やり抜く」ことが重要だというのはわかりました。
ただこの「やり抜く」というのは簡単ではないです。簡単なことでも継続的してやり抜くのは難しいです。ちょっとした誘惑や出来事で簡単にあきらめることもあります。
難しいことやつらいことであればなおさら継続が困難です。
ではどうしたらやり抜けるモチベーションが生まれるかというと、「やり抜く」にはなぜそれをやるのかという目的と目標が必要になる。本では「最上位の目標」や「究極的関心」、「人生の哲学」と呼ばれています。
自分が本当に興味があって好きなことや重要だと感じていることなら、その目標のために継続的に努力することが可能になるということです。
研究例として、上位 10 位と下位 10 位を分ける要素を調べたものが紹介されています。一流と普通の人を分けるには「動機の持続性」という 4 つの特徴があげられます。
ここはすごく行動指針として素晴らしいと思ったので本文を引用します。
遠くの目標を視野に入れて努力している(その日暮しとは正反対の態度)。晩年への備えを怠らない。明確な目標に向かって努力している いったん取り組んだことは気まぐれにやめない。気分転換に目新しさを求めて新しいものに飛びつかない 意志力の強さ、粘り強さ。いったん目標を決めたら守り抜こうと心に誓っている 障害にぶつかっても、あきらめずに取り組む。粘り強さ、根気強さ、辛抱強さ 引用:P113
他にもあのバフェットが述べたと言われる「目標達成方法」が参考になります。簡単に説明すると、現時点の目標を書き出してその中から重要なものだけを選択する。そして、選択しなかった目標は今後一切関わらないようにするというものです。
研究結果とインタビュー内容が面白い
この本の特徴として、研究結果とインタビューが面白いというのがあげられます。インタビューは成功者本人と話す場合やその両親、影響を与えた人物など様々な角度から成功の鍵を考察してます。
研究結果やインタビューを読んで思うのは、やはり成功者も人間で圧倒的な才能に恵まれたわけではないのだということです。達成のために費やした時間や苦労が語られるのは、とても人間味がありました。
あとは、著者自身の苦悩や経験に基づいた話も引き込まれるものがあります。
自分はどうだったか
書籍には「やり抜く力」を測定するグリッド・スケールが紹介されています。項目ごとに 5 点満点で点数をつけて計算し、最終的に合計が 5 点に近いほどやり抜く力が強いことになる。自分の場合は 3.5 点だったので、標本であるアメリカ人と 30%よりやり抜く力が強いという結果でした。
まああまりスコアは高くなかったです。スコアが高くなかったのは、興味・関心が持続しないのが原因でした。
まだ自分には人生の大目標と呼ぶべきものがない。
ただ継続する力はあるようでした。あとは「意図的な練習」ができていない。
なので、やり抜く力を伸ばすために具体的にやることは「自分の興味を掘り下げる」ことと、自分の能力より高い目標を設定し、それをクリアすることを習慣化することが必要。
特に興味を掘り下げるのは意識してやりたい。
覚えておきたいところ
大事だと思ったことを自分なりにまとめた。
- 人間のどんな偉業も実際は小さなことの積み重ねで、それらの一つ一つは「当たり前のこと」ばかり
- 目的はとても強力なモチベーションになる
- 肝心なときにどれだけがんばれるかは重要だが、進歩の妨げとなるのは途中でやめてしまうこと
- ツライ練習・努力をする習慣を作る。なにかしようと思うたびに決心が必要なようにならない
- 意図的な練習中は、批判をせず「いまこの瞬間」をみつめる
- 自分が変化を起こせるという信念と行動を起こす覚悟が必要
- 失敗に対して無力感を感じないように楽観でいる。できないのはがんばりが足りないからである
感想
この本は研究の内容をとてもわかりやすく論理的に説明されており読みやすかったです。
よく翻訳された本は日本語が難解になる印象でしたが、この本は日本語で最初から書かれたかのように自然にかかれており読みやすいです。
内容としては、継続することの大切さや難しさがよくわかる本でした。そして、成功者ではない自分と成功者との違いがよくわかり、自分に足りないものがわかる本です。
また心理学的側面で人間が社会で成功するために必要なことがいろいろ研究されていることにも驚きました。いろいろタメになる研究は世の中でたくさん行われていると再認識できました。